2007年05月26日
モニターの前の人々
BGM:Underworld"Cups"
毎日ネタになるような出来事があればいいのですが,そうそうあるはずもなく。「今日はお休みです」にしてしまおうかとも思ったのですが,ログを確認すると思いもかけずいろんな方にこのブログを訪れていただいてるようで。「英語会話」についてはin-world取材(あるいは過去の経験)が原則なのでそうそうネタとして思いつかず(笑)う~ん,でも訪れた人にはなんらかの話題をお届けしたいと考えました。
今週は日本の至るところで「SLオフ会」があったようですね。私は日本の片隅の海岸線で毎日海を見ながらの隠居生活。残念ながらオフ会には参加できなかったのですが。私が以前やってたゲームでのオフ会でリアルの仲間に会えたことは,それはそれは感動でした。相手からゲーム内のキャラ名で自己紹介されたりすると「おおお!あなたが!」なんて(笑)普段オンラインゲームで一緒にプレイしている人たちはやはりゲーム上の容姿(SLでいえばアバター)にひきずられてしまう傾向はあるかもですね。しかし,私の場合は比較的簡単にゲーム内キャラと現実との間の壁は打ち壊されました。すんなり適応できる。すぐに打ち解けていけました。そういう意味では私はオフ会は好きな方かもしれません。
さて,次に紹介する話は以前私がやってたブログからの転載です。オリジナルは私がたびたびここで書いてる米国の大手掲示板に投稿されたものです。それを日本語に翻訳してみました。この舞台となってるゲームを知らない方が読んでも分かるようにSL内用語に置き換えたり,加筆修正してあります。この話が本当にあった出来事なのかどうか。私はこれは実話であったと考えています。根拠を問われると心許ないですが(笑)このゲームではもっと奇跡的なイベントが起きたこともあったので,こういう話があっても全然不思議ではない。
語り手・・・投稿者自身
友人・・・投稿者の友人
捨てアカの彼女・・・彼女が作ったchat用のダミーキャラ
夫・・・彼女の夫
AoDO・・・舞台となるMMORPGの名称(架空)
では,ここから。
俺にはいい友人がいる。ある日,その友人がある捨てアカと思われるアバターからIMをもらった。彼女(捨てアカ)は友人に自分の名前,家族のこと,特に夫のことを話し始めた。彼女の夫はイラクに行っていたらしい。向こうにいる間ずいぶん身体を悪くして,結局癌に侵されていることが分かった。彼はアメリカに送り返された。そのこと自体腹立たしいことだけど,どうしょもないことだった。
彼女は夫にあまりくよくよ考え込まないように,向こうを立つ前にAoDOをやってみないかと提案してみた。AoDOは二人でできる数少ないことのうちのひとつだったのだが,彼のほうは1,2時間もやると疲れきってしまって,横にならなければならないところまできていた。そこで,彼女はあるお願いをするために,俺の友人にIMしたというわけだ。
どんなお願いかというと,PvP(1vs1の対人戦)で負けてやってくれないか?というものだった。その夫は友人と何度か出会って負けるか,あるいは友人が逃げ切るかでいっこうに勝てなかったらしい。夫は彼女に「もうちょっとであいつを倒せたのに」,「惜しいところまでいったのに」,という状況を悔しそうに彼女に語って聞かせていた。つまらないことのように聞こえるが,それがどんなに些細なことでも彼に束の間の幸せをもたらすことが彼女には分かっていた。彼女は毎日少しでも彼を幸福に過ごしてもらえるよう努力していたのだ,というのも彼の命は日に日に短くなっていたわけだから。
俺の友人はもちろんイエスと答えた。二人は場所と日を決めて,当日は彼女が夫をその場に連れて行くことになった。
約束の日,俺の友人はアバターを決められた場所に移動させた。魔法をかけたりポーションを使ったりしてたまにStealth(自分の身体を見えなくする能力)をときながら,相手に自分の場所がわかるようにしていた。いつも二人がそうしていたように。全力でやってるようにみせかけなければならない。しかし,必ず自分が負けるように心がけてはいた。
友人は彼女からのIMを待った。そして日々は過ぎていった。友人はことあるごとに/statでいつも名前を確認したが,夫のキャラも彼女のアバター名も見かけることはなかった。友人も腑には落ちなかったが仕方がない,彼らを探すことはあきらめてしまった。
ここまでが三ヶ月前にあった出来事だ。
先週,捨てアカの彼女から俺の友人にIMがきたらしい。彼女は友人にあれから戻ってこなかったことを謝まり,彼に感謝の意を伝えた。そしてさらにこう続けた。彼女の夫は二人が1on1の舞台を用意して,彼を喜ばせようとしたことを最後まで知ることはなかった,それでも彼女は友人の好意を決して忘れないと,
そして最後に,彼女の夫が11月の初めに亡くなったことが俺の友人に伝えられた。
俺の話はここまでだ。思うんだけど,もう一度俺たちはスクリーン上の名前の向こうに本当の人間がいるんだということを思い出すようにすべきだよな。
自分はそのことを忘れかけてたよ。それを認める。
毎日ネタになるような出来事があればいいのですが,そうそうあるはずもなく。「今日はお休みです」にしてしまおうかとも思ったのですが,ログを確認すると思いもかけずいろんな方にこのブログを訪れていただいてるようで。「英語会話」についてはin-world取材(あるいは過去の経験)が原則なのでそうそうネタとして思いつかず(笑)う~ん,でも訪れた人にはなんらかの話題をお届けしたいと考えました。
今週は日本の至るところで「SLオフ会」があったようですね。私は日本の片隅の海岸線で毎日海を見ながらの隠居生活。残念ながらオフ会には参加できなかったのですが。私が以前やってたゲームでのオフ会でリアルの仲間に会えたことは,それはそれは感動でした。相手からゲーム内のキャラ名で自己紹介されたりすると「おおお!あなたが!」なんて(笑)普段オンラインゲームで一緒にプレイしている人たちはやはりゲーム上の容姿(SLでいえばアバター)にひきずられてしまう傾向はあるかもですね。しかし,私の場合は比較的簡単にゲーム内キャラと現実との間の壁は打ち壊されました。すんなり適応できる。すぐに打ち解けていけました。そういう意味では私はオフ会は好きな方かもしれません。
さて,次に紹介する話は以前私がやってたブログからの転載です。オリジナルは私がたびたびここで書いてる米国の大手掲示板に投稿されたものです。それを日本語に翻訳してみました。この舞台となってるゲームを知らない方が読んでも分かるようにSL内用語に置き換えたり,加筆修正してあります。この話が本当にあった出来事なのかどうか。私はこれは実話であったと考えています。根拠を問われると心許ないですが(笑)このゲームではもっと奇跡的なイベントが起きたこともあったので,こういう話があっても全然不思議ではない。
語り手・・・投稿者自身
友人・・・投稿者の友人
捨てアカの彼女・・・彼女が作ったchat用のダミーキャラ
夫・・・彼女の夫
AoDO・・・舞台となるMMORPGの名称(架空)
では,ここから。
俺にはいい友人がいる。ある日,その友人がある捨てアカと思われるアバターからIMをもらった。彼女(捨てアカ)は友人に自分の名前,家族のこと,特に夫のことを話し始めた。彼女の夫はイラクに行っていたらしい。向こうにいる間ずいぶん身体を悪くして,結局癌に侵されていることが分かった。彼はアメリカに送り返された。そのこと自体腹立たしいことだけど,どうしょもないことだった。
彼女は夫にあまりくよくよ考え込まないように,向こうを立つ前にAoDOをやってみないかと提案してみた。AoDOは二人でできる数少ないことのうちのひとつだったのだが,彼のほうは1,2時間もやると疲れきってしまって,横にならなければならないところまできていた。そこで,彼女はあるお願いをするために,俺の友人にIMしたというわけだ。
どんなお願いかというと,PvP(1vs1の対人戦)で負けてやってくれないか?というものだった。その夫は友人と何度か出会って負けるか,あるいは友人が逃げ切るかでいっこうに勝てなかったらしい。夫は彼女に「もうちょっとであいつを倒せたのに」,「惜しいところまでいったのに」,という状況を悔しそうに彼女に語って聞かせていた。つまらないことのように聞こえるが,それがどんなに些細なことでも彼に束の間の幸せをもたらすことが彼女には分かっていた。彼女は毎日少しでも彼を幸福に過ごしてもらえるよう努力していたのだ,というのも彼の命は日に日に短くなっていたわけだから。
俺の友人はもちろんイエスと答えた。二人は場所と日を決めて,当日は彼女が夫をその場に連れて行くことになった。
約束の日,俺の友人はアバターを決められた場所に移動させた。魔法をかけたりポーションを使ったりしてたまにStealth(自分の身体を見えなくする能力)をときながら,相手に自分の場所がわかるようにしていた。いつも二人がそうしていたように。全力でやってるようにみせかけなければならない。しかし,必ず自分が負けるように心がけてはいた。
友人は彼女からのIMを待った。そして日々は過ぎていった。友人はことあるごとに/statでいつも名前を確認したが,夫のキャラも彼女のアバター名も見かけることはなかった。友人も腑には落ちなかったが仕方がない,彼らを探すことはあきらめてしまった。
ここまでが三ヶ月前にあった出来事だ。
先週,捨てアカの彼女から俺の友人にIMがきたらしい。彼女は友人にあれから戻ってこなかったことを謝まり,彼に感謝の意を伝えた。そしてさらにこう続けた。彼女の夫は二人が1on1の舞台を用意して,彼を喜ばせようとしたことを最後まで知ることはなかった,それでも彼女は友人の好意を決して忘れないと,
そして最後に,彼女の夫が11月の初めに亡くなったことが俺の友人に伝えられた。
俺の話はここまでだ。思うんだけど,もう一度俺たちはスクリーン上の名前の向こうに本当の人間がいるんだということを思い出すようにすべきだよな。
自分はそのことを忘れかけてたよ。それを認める。
Posted by のてす at 07:08│Comments(2)
│日月抄
この記事へのあたたかいおことばです
すてのさん、ダイナーでお世話になっているdiiです。
今回のネタは、なかなか奥深いですね。以前話題にあがったように、アバターの背後にどんなリアルな人間がいるかというのは興味深いです。
ところで、ブログネタで取り上げて欲しいのは「フランス人は、(かなりできるのに)英語を使いたがらないのは本当か?」ということです。特にSL内での様子を考察していただければと思っています。ネタ切れの際には、ご一考ください:-)
今回のネタは、なかなか奥深いですね。以前話題にあがったように、アバターの背後にどんなリアルな人間がいるかというのは興味深いです。
ところで、ブログネタで取り上げて欲しいのは「フランス人は、(かなりできるのに)英語を使いたがらないのは本当か?」ということです。特にSL内での様子を考察していただければと思っています。ネタ切れの際には、ご一考ください:-)
Posted by dii at 2007年05月27日 17:17
diiさん
お返事遅くなりました。そうですね,たま~にむこうの掲示板ではこういう話が出るんですよね。特にイラク絡みの話題とか切なくなる内容のものも多かったです。イラク行きが決まったプレイヤーの挨拶に対するみんなの別れの言葉とかね。
>>「フランス人は、(かなりできるのに)英語を使いたがらないのは本当か?」
うん,これは私もずいぶん昔に聞いたことがあります。これについては実際に取材するのが一番よいと思うのですが,なにぶん,フランスの人に聞くにはフランス語できないといけないわけで。もし英語で取材できるなら,そのフランス人は「すでに英語しゃべってるじゃない」っていう(笑)今まで例のvsPrimOpticの際にフランスSIMで話す機会がありましたが,まだサンプルが少なすぎてなんとも言えません。ある程度傾向が見えてきたら発表したいと思います。
お返事遅くなりました。そうですね,たま~にむこうの掲示板ではこういう話が出るんですよね。特にイラク絡みの話題とか切なくなる内容のものも多かったです。イラク行きが決まったプレイヤーの挨拶に対するみんなの別れの言葉とかね。
>>「フランス人は、(かなりできるのに)英語を使いたがらないのは本当か?」
うん,これは私もずいぶん昔に聞いたことがあります。これについては実際に取材するのが一番よいと思うのですが,なにぶん,フランスの人に聞くにはフランス語できないといけないわけで。もし英語で取材できるなら,そのフランス人は「すでに英語しゃべってるじゃない」っていう(笑)今まで例のvsPrimOpticの際にフランスSIMで話す機会がありましたが,まだサンプルが少なすぎてなんとも言えません。ある程度傾向が見えてきたら発表したいと思います。
Posted by のてす at 2007年05月28日 06:31